マンション建て替えや大規模修繕
都市設計連合は、マンションや団地の建て替えや大規模修繕に関して、総合的な支援を行います。
〔1〕マンション建て替えや大規模修繕の必要性
時間の経過とともにマンションでの生活に不安や不便を感じるようになります。
マンションは時間が経つにつれて、老朽化が進んできます。建築当初は最新の設備であっても、現在の一般的な水準と比べると陳腐化していたり、住宅の間取りや広さなどが今の生活様式に合わなくなってくるため、マンションでの生活に不安や不便を感じるようになります。
建て替えや大規模修繕について検討する時期が来ます。
管理を適切に行い、長期修繕計画に基づいた修繕・改修工事を行っていても、マンションの躯体や設備などは、徐々に劣化し、やがて物理的な限界が訪れます。築後30~35年を経過する頃には、このまま大規模修繕を繰り返すのか、建替えするのかを検討する時期が来ます。
マンションが抱える問題と対応
- 居住者の高齢化
- 老朽化したマンションには、60歳以上の高齢者の方が居住されている場合が多いようです。居住者だけでは充分な検討が出来ない場合は、専門家に相談するなどして、マンションの再生について検討する必要があります。
- 耐震性
- 昭和56年以前の建物には新耐震基準が適用されていないため、耐震性への懸念があります。将来の災害(地震など)に備えて、耐震診断を行い、マンションの安全性を確認しておく必要があります。
- 設備などの老朽化
- 給排水設備などが老朽化しても、古いマンションでは、修繕が困難な場合があります。 快適な生活を送るための検討が必要です。
- バリアフリー問題
- エレベーターが欲しい、手摺やスロープを取付けて欲しいという希望があっても、簡単に取り付けられない場合や、住宅内の段差などは、修繕・改修工事では解消できない場合があります。
●大規模修繕とは・・・ 一定の周期で修繕することが望ましい「計画修繕」のうち工事の内容・費用・期間等が多大となる修繕のことで現状又は実用上支障ない状態までに性能及び機能を回復させる大規模な修繕のこと
〔2〕建替えか修繕・改修かの検討について
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(1)老朽度の判定
マンション再生を検討を始めるには、耐震診断や劣化診断などを実施して、マンションの老朽化の程度を客観的に把握しておくことが必要です。
(診断手法)
- ① 構造安全性
- (1)耐震性・・・・・・・・・・・・・・・耐震診断
- (2)構造躯体の材料劣化・構造不具合・・・劣化診断
- (3)非構造部の材料劣化・・・・・・・・・目視・実測
- ② 防火・避難安全性・・・・・・・・・・・・・図面・目視・実測
- ③ 躯体および断熱仕様に規定される居住性・・・図面・目視・実測
- ④ 設備の水準・・・・・・・・・・・・・・・・図面・目視・実測・ヒアリング
- ⑤ EVの設置状況・・・・・・・・・・・・・・図面・目視
- ① 構造安全性
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(2)現マンションに対する不満やニーズの把握
建替か修繕・改修かを合理的に判断するためには、アンケート等により各区分所有者が抱えている不安や改善ニーズを把握することが必要です。
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(3)要求改善水準の設定
(1)、(2)を踏まえ、どの程度まで改善したいと考えるかを検討し、専門家の協力を得て建替えや修繕・改修により要求する改善水準を設定します。
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(4)修繕・改修の改善効果の把握と費用算定
修繕・改修による改善効果を把握し、その所要費用を算定します。 修繕・改修では実現できないものを明確にし、どの程度の改善効果が期待出来るかを把握します。
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(5)建替えの改善効果の把握と費用算定
建替えによる改善効果を把握し、その所要費用を算定します。
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(6)費用対改善効果に基づく建替えか修繕・改修かの総合判断
改善効果と費用の大きさを総合的に比較考慮して判断を行います。
CASE1: 修繕・改修で居住性・安全性が満たされる場合
⇒どちらでも要求改善水準が満たされる場合は、実現水準の差と所要費用の差を比較して建替えか修繕・改修かを判断
CASE2: 修繕・改修では安全性の確保が難しい場合
⇒修繕改修を実施しても安全性に係る必須な性能を確保することが出来ない場合は、改善効果のみで建替えを行うべきと判断
CASE3:建替えでは居住性が損なわれる場合
⇒既存不適格のマンションで建替えた場合に住戸面積が小さくなる場合は、建替えのメリットが少なく、改善効果のみで修繕・改修を選択